はじめに
2026年7月18日、約1か月にわたって開催した「生成AI Procthon 2026」が終了しました。
Procthon(プロクソン)は、ProcessとHackathonを組み合わせた造語。
掲げたキャッチコピーは、
成果物よりも、AIと共創した「過程」を競うハッカソン
生成AIで何を作ったかだけでなく、
・人は何を考え、何を判断したのか
・AIにはどんな仕事を任せたのか
・チーム内で使い方をどう共有したのか
・その使い方を、別の人や別の仕事にも応用できるのか
といった、AIとの関わり方を重く評価するイベントとして企画しました。
生成AI Procthon 2026の概要
今回の開催概要は下記の通り
|
項目 |
内容 |
|---|---|
| イベント名 | 生成AI Procthon 2026 |
| 開催期間 | 2026年6月13日〜7月18日 |
| 制作テーマ | 岡山県の地域課題と、そのソリューション |
| 学生参加人数 | 25名 |
| チーム数 | 6チーム |
| 1チーム人数 | 4~5名 |
| 社員参加人数 | 7名 |
| 運営 | 4名 +部分的にヘルプいただいた社員が5名程度 |
| 審査員 | 社長および主要本部の本部長、計5名 |
| 開催場所 | セリオ株式会社 本社 |
| 期間中の連絡ツール | Discord |
チーム編成で考慮したこと
Procthonは、シンプルに言えば「生成AIの力をどれだけ借りられるか」を競うイベントです。
そのため、必ずしも全員がプログラミング経験者である必要はありません。
一方で、チーム内の経験者が極端に偏ると、プログラミング経験の差で成果が決まる可能性があります。
そこで、エントリー時にはプログラミング経験の有無を確認。
チーム編成では、
・所属が偏らないこと
・プログラミング経験者と未経験者のバランス
・普段接点のない人と関われること
を意識しました。
キックオフ当日の流れ
6月13日の対面キックオフ初日は、以下の流れ
1.イベント概要と評価項目の説明
2.MCPやSkillsなど、生成AI活用技術に関するハンズオン
3.チームでの課題設定とアイデア検討
4.各チームによる課題とソリューションの発表
いきなり制作ではなく、イベントの考え方と生成AI活用の基礎を共有しました。
その後、チームごとに「岡山県の地域課題」を考え、どのようなソリューションを作るかを決定。
使う生成AIサービスも自分たちで選択
今回、生成AIサービスを運営側で決定せず、各参加者に必要なサービスを選んで契約してもらい、後から利用料を支払う方式を選択。
利用されたサービスは、
- ・ChatGPT
- ・Claude
- ・Gemini
- ・Cursor
- ・Gamma
- ・Notion
- ・Figma
コード生成だけでなく、壁打ち、議事録、デザイン、資料作成、チーム内の情報共有など、さまざまな場面で生成AIやコラボレーションツールが活用されました。
プロセス70%、成果物30%
Procthonでの評価は
70%=プロセス、30%=成果物。
プロセスの評価
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評価項目 |
内容 |
|---|---|
| 関与割合 | どのタスクを人が行い、どのタスクをAIへ任せたか |
| 再現性 | プロンプトやスキルをチーム内で共有し、成果につなげられたか |
| 汎用性 | 審査員が自分のAI活用でも真似したいと思える使い方か |
| コミュニケーション | 人同士がどのように連携し、学び合ったか |
成果物の評価
|
評価項目 |
内容 |
|---|---|
| 新規性・独創性 | 成果物自体に新しい視点や工夫があるか |
| 完成度 | 期間内に目標へどの程度近づけたか |
点数だけで機械的に評価を決定せず、発表から感じ取ったプロセスの価値も含めて、審査員同士で議論することを重要視しました。

6チームが取り組んだ地域課題
各チームから出たアイディアは次の通り
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地域課題 |
制作したソリューション |
|---|---|
| 岡山県の名産品「黄ニラ」の知名度が低い | 黄ニラ栽培のゲーム化や、栽培記録をポップにまとめるサービス |
| 岡山市内にゴミ箱が少ない | 利用者同士でゴミ箱の場所を登録・共有できるマップアプリ |
| 若者が地元に残らない | 地元企業への就職活動を支援するアプリ |
| 良いカフェがあっても見つけにくい | マッチングアプリのようにスワイプして好みのカフェを探すアプリ |
| 観光客と地元住民が交流しにくい | 多言語で観光案内や地域のマナーを伝えるアプリ |
| 観光客の滞在時間が短い | スポット写真をスワイプしながら好みの旅行プランを作るアプリ |
同じ岡山県の地域課題でも、名産品、観光、就職、店舗探索、生活環境など、さまざまな切り口から、各チーム個性あふれるアプリを開発してくれました。

最優秀チームから教えられた、想定外のプロセス価値
最優秀は、カフェをスワイプ操作で探すアプリを制作したチーム。
成果物や発表の完成度が高かったことも、評価の大きな要因です。
しかし、多くの参加者や審査員の共感を呼んだのは、それだけではありません。
メンバー同士で学び合いながら、少しずつAIを使えるようになっていく。
そして最後には、AIを活用するメリットや、今後改善したいことを、未経験者も含めて自分自身の言葉で説明していました。
構想段階での「再現性」や「汎用性」は、プロンプトやSkillsを作り、それを共有・再利用するようなイメージでした。
しかし、最優秀チームの発表を通して、得た気づきは
ゼロから生成AIを使えるようになった軌跡と、その経験を自分の言葉で振り返ることも、評価すべきプロセスということ。
入賞チーム以外にも、多くの工夫があった
優秀な評価を受けたチームでは、NotionやFigmaを活用し、議事録、壁打ち、デザイン、共同作業をうまくつないでいました。
特定の成果物だけに閉じず、別のチームや業務でも応用しやすいプロセスになっていた点で高い評価を獲得。
惜しくも入賞を逃したチームにも、興味深い取り組みがありました。
・AIにペルソナとして成果物を評価させ、UXのスコアを改善していくチーム
・Hookを使って、プロンプトやログを記録しようとしたチーム
成果物だけを見ていたら見落としてしまうような工夫が、各チームのプロセスには数多くありました。
これこそが、Procthonで見たかったものでした。

生成AI時代でも、最後に大きな力になるのは人の熱だった
Procthonは、生成AI時代のハッカソンとして、一つの新しい提案となりました。
成果物だけではなく、AIとの関わり方を評価する。
成功した方法だけではなく、試行錯誤や学び合いを共有する。
生成AIによって人の能力が拡張される時代だからこそ、そのプロセスには大きな価値があるのです。
一方で、今回の開催を通じて学んだこともあります。
生成AIがどれほど強力になっても、実際に人を動かし、1か月の挑戦を走り切らせ、大きなうねりを生むのは、人と人との関わり合いから生まれる熱なのだということです。
AIによって、自分一人の能力を超えられる。
人と協力することで、さらにその先へ行ける。
Procthonは、その両方を体験する場になりました。
